【短】「花火を背にした少女」
「俺の絵の写真ばっか撮ってないで、歌月理もなんか描いたらどうなんだ?」
絵翔は少し眉根を寄せて、私に目を向けずに言った。
「私に絵は難しいよ。それに、私にとっては絵翔の絵を撮ることが芸術で…」
「だから、完成品を撮るのは芸術なんかじゃないって言ってるんだ。芸術っていうのは自分で生み出すものだろ」
被せるように、絵翔が強い口調で言う。
…なんか、イライラしてる?
「…写真撮るのって難しいんだよ。私、絵翔の絵を写すのに努力してるつもり」
「そんなの努力って言うか!芸術はもっと苦し…っ」
「…なんで…?」
なんで、そんなこと言うの?