【短】「花火を背にした少女」
 私はギュッと手を握りしめて、「分かった」と気づけばとげとげしく言っていた。




「私も、絵を描くよ。そうすればいいんでしょ!?」


「あぁ、描けるもんならな」




 ふんっと、絵翔は鼻で笑う。

 私に絵が描けないのをわかってて言ってるんだ。

 最近、家に行かせてくれないと思ったら…こんないじわるまでするなんて。


 ねぇ、ずっと私の写真は芸術じゃないって思ってたの?




「…イーゼル、貸して。キャンバスも。あまってるでしょ!」




 自然と大声が出た。




「好きなだけくれてやるよ」




 絵翔(かいと)の声も、とげとげしくて、素っ気なかった。


 今日は、最悪な日だ。



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