【短】「花火を背にした少女」
はぁ、と大きなため息がもれた。
逆立ちして見たっておかしいのはわかってる。
でもきれいに描ける腕があったら、昨日の時点で下書きを修正してた。
こんなのに色を塗ったっておかしくなるだけだし、そもそも私、色塗りだって上手くできる自信がないよ。
「写真なら上手く撮れるのになー…」
ぼふん、とカメラを持ったままベッドに倒れこんだ。
試しにカメラを覗きこんで天井の写真を撮れば、さっきの絵よりよほど見栄えのいい仕上がりとなる。
風景写真を撮る人になろうかな。
「暑い…」
茹だるような気温にぼやいて、また小さくため息を吐き、絵翔が昨日見せてくれた写真を思い返した。
そもそも、絵翔だって写真を撮るのは下手じゃんか。
そこは適材適所でいいじゃん。なんでいじわるするのよ。