青白磁のエンドロール





 あの時、嘘を言われた。とは、思っていない。

 からかわれた。とも、思っていない。

 ただ、“その程度”だったってだけ。

 なんだかんだ言ったって、自分だって傷ついても、どうにかしてでも青鷹君を引き留めようとしなかったし……っていうのは、自らをヴェールで守る強がりなのかな。

 無難に笑っていたら、職場の仲間としてきって当たり障りなく働けるから、青鷹君にも他の人と同じように“普通に”笑うだけ。

 口角を上げて車に乗ると、自転車でスイスイ坂を上る青鷹君を追い抜いて帰路に就いた。





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