青白磁のエンドロール





 外で待っている人がいるから、食べたら長居せずにカフェを出た。物語の世界から一変、鼠色の路地裏がリアルな現実を一気に引き戻す。

「あーケーキ小さかったのに、結構お腹いっぱいなんだけど」

「ぎっしり詰まってたもんね。歩いて食後の運動しよう」

 右手を伸ばして青鷹君の小指に触れると、すぐにギュッと繋いでくれた。

 手を繋いでもおかしくない関係だが、なんせまだ……慣れない。青鷹君が近付く度にあの良い香りも漂うから、一人恥ずかしくなるのだ。

 のんびり街を歩く、路面電車の走る景色が良いなぁ。

 今夜はまた冷えるらしいが、お昼間は割と暖かい。ビルの影を出ると太陽に照らされる。ふとチラッと振り返った二人の影が繋がっていて、ふふっと口元が緩んだ。






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