青白磁のエンドロール





「この仮はいつか返すからね」

「返すんだ」

「……機会があればね」

「卒業までにあるかな」

 年明けにセンター試験を控え、高校の終わりへ一日、一日近付いてゆく。

 残暑が色づく秋へ、そして初雪を見た冬。受験生に年末年始はあると思うな。古典と現社の教師の口癖を嫌々聞き流しながらも、大人しく勉強はする。

 守保との距離が近付くこともなければ、守保が傷つくような出来事もなかった。





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