青白磁のエンドロール





 ちせは他に話しかけないように、自分にも話しかけなかったし、誰の前でも、気を使いながら控えめに笑っていた。

 特別なんて全く何もなかったのに、自分の感情だけが淡く変化してしまってバカみたいだな。

 そしてお互いの受験が落ち着き、俺はちせと大学は違えど、割と地元に近い距離にある学校へ二人の進学が決まったことが内心嬉しかった。あの青鷹がこんなに喜んでるのって初めて見たわ! って言われるくらい、本当に嬉しかったのだ。

 もう一つ、この近辺の大学へ通うことになるサトナカとはそう簡単に顔を合わせることもなくなるだろう……安心もあったし、夏の出来事から何もなかった。なかったけど、ちせにとってあれが、これからもっとずっと遠い場所へ薄く消えていけたらなって。






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