青白磁のエンドロール





 小さな箱から飛び出して、海辺の街で解き放ったかのように、自由で同じものに興味がある仲間に囲まれた大学は、純粋に楽しかった。

 そりゃあ悩み落ち込むことがあっても、歩けば辿り着く、どこまでも果てなく続く海を見ているうちに、気分も徐々に晴れてゆく。古びた箱よりはもっとずっと広い校内には本当に様々な人がいて、人の個性を素直を知れることが普通に嬉しかった。

 苦手そうな人と関わる機会も、以前に比べたらグッと減って、年齢や性別を問わずに、好きな人たちと一緒にいる時間が圧倒的に長くなる。

 一回生の頃は友達も殆どいなかったけれど、いつも隣には高校の頃からの友達ワタシモリ アカリがいたし、手話のサークルにも所属。二回生・三回生になるとゼミも始まり、あっさり無理なく仲間と過ごす日々。







< 80 / 672 >

この作品をシェア

pagetop