青白磁のエンドロール






 私を見下ろす相手の黒い目も、自分を確かめるように瞬きをして、きっとお互い誰だってすぐに分かってしまった。

 寒々しい空の下、Sグループのジャージを着た“南浦 青鷹”が目の前にいる。

「あ……フロントの、守保です」

 突如現れても良い反応ができなくて、ドクドク心拍数が跳ね上がる。

 自己都合で退職をした男性コーチに、産休に入るチーフの女性コーチ。代わりに時季外れに誰かが来ることは知っていた。

 でも、その相手が誰かなんて、知る前触れなどない。若い人らしいよーって、たかがそのくらいの情報しかなくて、そうなんだって聞き流していたのに。





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