アラフィフ・ララバイ
半年前、とうとう五十の誕生日を迎えた私は、老眼もさることながら、全てにおいての老化が著しい。

四十代の頃は、まだそれほど感じなかった体型の変化も、今は顕著だ。

三十代前半に買った服が一気に処分行きになっていく。

体の老化も、目だけじゃなく、耳も聞こえにくいし、早口でしゃべられようもんなら、理解がついていかない。

ちょっと無理して庭の雑草引きをしたら、翌日は腰が痛くて半日曲がっていたこともあった。

あんなに母好きな高校三年生の息子、(さとし)ですら、腰が曲がった私を見て、

「やばい、それ」

と吹き出してやがった。

笑うより助けろよっての!

それよりも許せないのが旦那、信二(しんじ)

私よりも三歳若い信二は、まだ四十代だ。だから五十代の洗礼を受けていない。

が、しかし!

腰をさすりながら目の前を横切っているというのに、こちらに見向きもせず、テレビを見て馬鹿笑い。

もう少しこちらに意識をむけい!

アラフィフは、結構傷つきやすいのだ。

今や、どんな時もウルウルした目で私を見つめ続けてくれるのは愛犬ピーだけ。

とにもかくにも、十分理解しております。

否が応でも自ら認めざるを得ないおばさん域に突入しているという事実を。





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