アラフィフ・ララバイ
「内田ちゃん、確か演劇とか好きだったよね?」
「あ、はい。え?なんですか?」
バッグからごそごそと茶封筒を取り出した詩織さんが私にその封筒を差し出した。
「これ、友達からもらったんだけど、よかったら行って」
封筒の口を広げて中身を覗き込むと、チケットが二枚。
そのチケットの一枚を引っ張り出すと、劇団はやぶさの舞台のチケットだった。
「劇団はやぶさって、あの有名な俳優さん、えっと誰だっけ」
「白浪 良太!」
私と詩織さんが話してる横から、これまた私より二歳年上の矢吹さんが笑いながらつっこむ。
「そうそう、白波良太。嘘!めちゃ好きなんですよ。頂いてもいいんですか?」
「私も行けたらよかったんだけど、その日都合が悪くって。むしろもらってくれたらありがたいの。ご主人と観劇デートでもしてきてよ」
詩織さんは私の肩をポンポンと笑顔で叩いた。
「ありがとうございます!でも、旦那とはいきませんけどね」
「はいはい、どなたとでもどうぞ~。じゃ、私はお先に!」
そう言うと、詩織さんは大きなバッグを肩にかけ、更衣室から出ていった。
うわぁ。
劇団はやぶさって、今人気だからなかなか取れないんだよね。
誰と行こう?
絶対旦那とは嫌だ。絶賛反抗期中の由愛と行く方が何倍もまし。帰ったら聞いてみよ。
演劇鑑賞は私の唯一の趣味だった。
大学の時、当時付き合ってた彼氏が入手困難な劇団五季のチケットを手に入れて、連れていってくれたことがきっかけではまってしまった。
漆黒の闇から突如目の前に繰り広げられる夢の世界。現実から異次元世界へ一気に引き込まれるあの瞬間は、全てを忘れられた。
「あ、はい。え?なんですか?」
バッグからごそごそと茶封筒を取り出した詩織さんが私にその封筒を差し出した。
「これ、友達からもらったんだけど、よかったら行って」
封筒の口を広げて中身を覗き込むと、チケットが二枚。
そのチケットの一枚を引っ張り出すと、劇団はやぶさの舞台のチケットだった。
「劇団はやぶさって、あの有名な俳優さん、えっと誰だっけ」
「白浪 良太!」
私と詩織さんが話してる横から、これまた私より二歳年上の矢吹さんが笑いながらつっこむ。
「そうそう、白波良太。嘘!めちゃ好きなんですよ。頂いてもいいんですか?」
「私も行けたらよかったんだけど、その日都合が悪くって。むしろもらってくれたらありがたいの。ご主人と観劇デートでもしてきてよ」
詩織さんは私の肩をポンポンと笑顔で叩いた。
「ありがとうございます!でも、旦那とはいきませんけどね」
「はいはい、どなたとでもどうぞ~。じゃ、私はお先に!」
そう言うと、詩織さんは大きなバッグを肩にかけ、更衣室から出ていった。
うわぁ。
劇団はやぶさって、今人気だからなかなか取れないんだよね。
誰と行こう?
絶対旦那とは嫌だ。絶賛反抗期中の由愛と行く方が何倍もまし。帰ったら聞いてみよ。
演劇鑑賞は私の唯一の趣味だった。
大学の時、当時付き合ってた彼氏が入手困難な劇団五季のチケットを手に入れて、連れていってくれたことがきっかけではまってしまった。
漆黒の闇から突如目の前に繰り広げられる夢の世界。現実から異次元世界へ一気に引き込まれるあの瞬間は、全てを忘れられた。