キス、しよっか?
「...............」
「...............」
「...............」
〝ラブレター〟を差し出してから数秒。
珍しく、不思議な沈黙が流れて。
「.....................、これ、瀬那くん?」
ラブレターを受け取りながら、
察したように、口を開いた杏里ちゃん。
「うぇぇっ!?なんで分かるの!?」
〝瀬那くんからだよ〟なんて、
ひと言も言っていない...............
というか、言い忘れたのに...............
「んー、あー、まぁ。色々、ね、」
言い当てちゃったあとの、
杏里ちゃんの表情はどこか浮かない顔で。
私はそれ以上、〝何も〟聞けないまま。
──────その日の学校が終わった。