恋愛の醍醐味
次の恋人は『俺に着いてこいタイプ』で、束縛のきつい男だった。男らしいといえば男らしいが、やっぱり何かが違うような気がしていた。
夜の外出禁止で、萌々香は会社の飲み会にも行かせてもらえなかった。その上、彼の沸点は異様に低く、キレやすい。それでも間違ったことを言っていないだけに、反論の余地はなく、機嫌を損ねないようにする為には、彼の言うことに従うよりほかになかった。
きつ過ぎる束縛は、相手を信用していないからだ、と萌々香は思う。当然そんな彼のことを萌々香が信用出来るはずもなく……。
案の定その根底にあったのは――彼の浮気だった。
深い仲になる前に気付けて良かったと、萌々香はホッと胸を撫で下ろした。
結局彼とも一ヶ月持たずに別れることとなった。
恋愛はなかなか上手く行かないものだ。
もちろんそんな男は論外だが、予め自分の取扱い説明書を作っておいて、恋人になる前に相手に目を通してもらっておけば手っ取り早いのではないかと、萌々香はそんなことを真剣に考えていた。
そうすれば、イライラすることも喧嘩になることもなくなる。作っておいて損はないだろう。
萌々香は数日かけて自分を見つめ直した。これまでの自分の言動や考えがどうだったかを思い出し、どうすれば自分の理想に近付くかを考え、それを箇条書きにしていった。
その数なんと百以上――
よくもこんなに出てきたものだと、自分でも驚くほどだった。
しかし、その時間は無駄にはならなかった。
その条件を全てクリアすることが出来るAIロボットが、たった今、萌々香の元に届いたのだ。
名前は『ジュン』。萌々香の好きな男性アイドルと同じ名前だ。もちろんそれも、萌々香の希望通りだった。ロボットといってもアンドロイドで、ルックスも萌々香好みで文句のつけようがなかった。
数日前に『商品モニター参加募集』のサイトを見ていて、目に留まったのだ。
ロボティクス株式会社――聞いたことがあるようなないような……。
商品はもちろん、AIロボットだ。
一ヶ月間モニターになって、試用した感想や評価を回答するというものだ。気に入れば、購入も可能だという。
萌々香は今までにも、化粧品やダイエットサプリメントなど様々な商品モニターをやってきた。日数や手間がかかるほど、謝礼が高額だということも知っている。今回は今までにない商品モニターで面白そうだと思ったのと、何より謝礼として三万円分のギフト券が貰えるというのが魅力的で申し込んだのだった。
夜の外出禁止で、萌々香は会社の飲み会にも行かせてもらえなかった。その上、彼の沸点は異様に低く、キレやすい。それでも間違ったことを言っていないだけに、反論の余地はなく、機嫌を損ねないようにする為には、彼の言うことに従うよりほかになかった。
きつ過ぎる束縛は、相手を信用していないからだ、と萌々香は思う。当然そんな彼のことを萌々香が信用出来るはずもなく……。
案の定その根底にあったのは――彼の浮気だった。
深い仲になる前に気付けて良かったと、萌々香はホッと胸を撫で下ろした。
結局彼とも一ヶ月持たずに別れることとなった。
恋愛はなかなか上手く行かないものだ。
もちろんそんな男は論外だが、予め自分の取扱い説明書を作っておいて、恋人になる前に相手に目を通してもらっておけば手っ取り早いのではないかと、萌々香はそんなことを真剣に考えていた。
そうすれば、イライラすることも喧嘩になることもなくなる。作っておいて損はないだろう。
萌々香は数日かけて自分を見つめ直した。これまでの自分の言動や考えがどうだったかを思い出し、どうすれば自分の理想に近付くかを考え、それを箇条書きにしていった。
その数なんと百以上――
よくもこんなに出てきたものだと、自分でも驚くほどだった。
しかし、その時間は無駄にはならなかった。
その条件を全てクリアすることが出来るAIロボットが、たった今、萌々香の元に届いたのだ。
名前は『ジュン』。萌々香の好きな男性アイドルと同じ名前だ。もちろんそれも、萌々香の希望通りだった。ロボットといってもアンドロイドで、ルックスも萌々香好みで文句のつけようがなかった。
数日前に『商品モニター参加募集』のサイトを見ていて、目に留まったのだ。
ロボティクス株式会社――聞いたことがあるようなないような……。
商品はもちろん、AIロボットだ。
一ヶ月間モニターになって、試用した感想や評価を回答するというものだ。気に入れば、購入も可能だという。
萌々香は今までにも、化粧品やダイエットサプリメントなど様々な商品モニターをやってきた。日数や手間がかかるほど、謝礼が高額だということも知っている。今回は今までにない商品モニターで面白そうだと思ったのと、何より謝礼として三万円分のギフト券が貰えるというのが魅力的で申し込んだのだった。