婚約破棄された者同士、円満に契約結婚いたしましょう。
26.双子とのお出かけ
約束をしてから二日後、私はイグルとウェレナとともにバンティスの丘まで来ていた。
この丘は、私達の家からそれ程遠くない場所にある丘で、よく家族でピクニックに来ている場所である。
お父様とお母様は忙しかったらしく、私と双子だけで出かけることになった。よく考えてみれば、この丘に三人で来るのは随分と久し振りである。
「ふう……やっぱりここは気持ちがいい場所ね」
丘の上にある大樹の下に、私達はゆっくりと腰掛ける。
周囲を見渡すと、広大な自然が広がっていた。そこから吹き抜けてくる風は、なんとも気持ちがいい。
こういう風にのどかな自然に触れるのも久し振りであるような気がする。
「お姉様、お弁当にはまだ早いですかね?」
「え? ええ、そうね。早いのではないかしら?」
「今日のお弁当は、私とお兄様も手伝ったんです。料理人さんに無理を言って、色々と教えてもらいました」
「あら、そうなのね……」
イグルとウェレナは、バスケットを私に見せながら事情を説明してくれた。
それは、驚くべきことである。まさかこの双子が、お弁当を作ってきてくれていたなんて思ってもいなかった。
なんというか、二人は最近様子が少しおかしいような気がする。一体何があったのだろうか。本当に心配だ。
「二人も成長しているということかしら?」
「成長……そうですか?」
「ええ、そう思うわ。日に日に大きくなっているでしょう?」
「はい。背は伸びています」
「まあ、背だけの話ではないけれど……」
この弟と妹も、日々成長しているということなのだろうか。二人のおかしな様子に、私はそんなことを思っていた。
思い返してみると、ガラルト様との婚約が決まってから二人のことをそこまで見てあげられていなかったような気がする。私も、色々と忙しかったからだ。
その空白期間で、二人はいつの間にか成長したということだろうか。それはなんというか、少し寂しいような気もする。
「……二人にこんなことを言うのは、少々酷なような気もするけれど」
「はい? なんですか?」
「ラーカンス子爵家のことをお願いね。あなた達は、これからきっと色々な困難に立ち向かうことになるけれど、二人で助け合って、この家を守ってちょうだい」
「あっ……」
「……あら?」
そこで私は、二人にラーカンス子爵家のことを頼んだ。それは近い内に家を去る私が、かけておくべき言葉だと思ったからだ。
しかしその言葉によって、イグルとウェレナの様子が変わった。二人とも、絶望的な表情で私の顔を見てきたのだ。
この丘は、私達の家からそれ程遠くない場所にある丘で、よく家族でピクニックに来ている場所である。
お父様とお母様は忙しかったらしく、私と双子だけで出かけることになった。よく考えてみれば、この丘に三人で来るのは随分と久し振りである。
「ふう……やっぱりここは気持ちがいい場所ね」
丘の上にある大樹の下に、私達はゆっくりと腰掛ける。
周囲を見渡すと、広大な自然が広がっていた。そこから吹き抜けてくる風は、なんとも気持ちがいい。
こういう風にのどかな自然に触れるのも久し振りであるような気がする。
「お姉様、お弁当にはまだ早いですかね?」
「え? ええ、そうね。早いのではないかしら?」
「今日のお弁当は、私とお兄様も手伝ったんです。料理人さんに無理を言って、色々と教えてもらいました」
「あら、そうなのね……」
イグルとウェレナは、バスケットを私に見せながら事情を説明してくれた。
それは、驚くべきことである。まさかこの双子が、お弁当を作ってきてくれていたなんて思ってもいなかった。
なんというか、二人は最近様子が少しおかしいような気がする。一体何があったのだろうか。本当に心配だ。
「二人も成長しているということかしら?」
「成長……そうですか?」
「ええ、そう思うわ。日に日に大きくなっているでしょう?」
「はい。背は伸びています」
「まあ、背だけの話ではないけれど……」
この弟と妹も、日々成長しているということなのだろうか。二人のおかしな様子に、私はそんなことを思っていた。
思い返してみると、ガラルト様との婚約が決まってから二人のことをそこまで見てあげられていなかったような気がする。私も、色々と忙しかったからだ。
その空白期間で、二人はいつの間にか成長したということだろうか。それはなんというか、少し寂しいような気もする。
「……二人にこんなことを言うのは、少々酷なような気もするけれど」
「はい? なんですか?」
「ラーカンス子爵家のことをお願いね。あなた達は、これからきっと色々な困難に立ち向かうことになるけれど、二人で助け合って、この家を守ってちょうだい」
「あっ……」
「……あら?」
そこで私は、二人にラーカンス子爵家のことを頼んだ。それは近い内に家を去る私が、かけておくべき言葉だと思ったからだ。
しかしその言葉によって、イグルとウェレナの様子が変わった。二人とも、絶望的な表情で私の顔を見てきたのだ。