婚約破棄された者同士、円満に契約結婚いたしましょう。
32.かつての婚約者は
「ラルード様はかっこいい人ですね、お姉様」
「え? ええ、そうね。かっこいい人だと私も思っているわ」
「そうなんですね。でも、ちょっと抜けている所もあると思うんです」
「まあ、そうかもしれないわね……」
夜、私の部屋を訪ねてきたイグルとウェレナの二人は、ラルード様について述べてきた。
まだ割り切れている訳ではないのか、二人はラルード様に対して少し辛辣である。もっとも、本人の前では柔らかい態度を取っていたので、特に咎める必要はないだろう。
「でも、色々と総合して、私は良き婚約者に巡り会えたと思っているわ」
「……それは確かにそうですね」
「ええ、それに関しては私もそう思います」
「あら……」
そこで私は、少し驚くことになった。
二人が私の言葉に、やけに容易く同意したからである。
今まで反発していたのに、一体どういう風の吹き回しだろうか。それがわからなくて、私は少し困惑してしまう。
「だって、お姉様の前の相手はどう考えたっていい人ではありませんでしたから」
「前の人……ああ、ガラルト様のことね」
「今になって思い返しみると、あの人は嫌な人でした。決して、お姉様を渡したくありません」
「そう……そんな風に思ってくれたのね」
どうやら、二人はラルード様を通してガラルト様への評価を改めたようだ。
元婚約者には悪いが、それは正しい認識である。正直言って、ガラルト様は少々難がある人だ。それをこの双子が認識してくれたのは、正直嬉しい。
彼が駄目だとわかっていたら、二人は彼のようにはならないだろう。それは私にとって、とても安心できることだった。
「その点、ラルード様ならお姉様のことを任せられます。彼は紳士ですから」
「ええ……イグルも見習わないとね? あなたは何れ、この家を継ぐのだから」
「え? えっと……」
そこでイグルは、驚いたような顔をしていた。
自分の将来のことを言われて、面食らってしまったのだろうか。彼はすっかり固まってしまった。
それは、ウェレナも同じである。二人にとって、家を継ぐだとかそういう未来の話は、あまり楽しいものではないらしい。
「……さて、そろそろ寝ましょうか。夜更かしはよくないものね」
「え? あ、そうですね」
「二人とも、今日もここで寝るの?」
「お姉様さえよければ、そうしたいと思っています」
「私に断る理由はないわね」
私の言葉に二人は笑顔を浮かべてくれた。強引にでも話を切り上げる判断は、どうやら正しかったようである。
こうして私達は、三人で一緒に寝るのだった。
「え? ええ、そうね。かっこいい人だと私も思っているわ」
「そうなんですね。でも、ちょっと抜けている所もあると思うんです」
「まあ、そうかもしれないわね……」
夜、私の部屋を訪ねてきたイグルとウェレナの二人は、ラルード様について述べてきた。
まだ割り切れている訳ではないのか、二人はラルード様に対して少し辛辣である。もっとも、本人の前では柔らかい態度を取っていたので、特に咎める必要はないだろう。
「でも、色々と総合して、私は良き婚約者に巡り会えたと思っているわ」
「……それは確かにそうですね」
「ええ、それに関しては私もそう思います」
「あら……」
そこで私は、少し驚くことになった。
二人が私の言葉に、やけに容易く同意したからである。
今まで反発していたのに、一体どういう風の吹き回しだろうか。それがわからなくて、私は少し困惑してしまう。
「だって、お姉様の前の相手はどう考えたっていい人ではありませんでしたから」
「前の人……ああ、ガラルト様のことね」
「今になって思い返しみると、あの人は嫌な人でした。決して、お姉様を渡したくありません」
「そう……そんな風に思ってくれたのね」
どうやら、二人はラルード様を通してガラルト様への評価を改めたようだ。
元婚約者には悪いが、それは正しい認識である。正直言って、ガラルト様は少々難がある人だ。それをこの双子が認識してくれたのは、正直嬉しい。
彼が駄目だとわかっていたら、二人は彼のようにはならないだろう。それは私にとって、とても安心できることだった。
「その点、ラルード様ならお姉様のことを任せられます。彼は紳士ですから」
「ええ……イグルも見習わないとね? あなたは何れ、この家を継ぐのだから」
「え? えっと……」
そこでイグルは、驚いたような顔をしていた。
自分の将来のことを言われて、面食らってしまったのだろうか。彼はすっかり固まってしまった。
それは、ウェレナも同じである。二人にとって、家を継ぐだとかそういう未来の話は、あまり楽しいものではないらしい。
「……さて、そろそろ寝ましょうか。夜更かしはよくないものね」
「え? あ、そうですね」
「二人とも、今日もここで寝るの?」
「お姉様さえよければ、そうしたいと思っています」
「私に断る理由はないわね」
私の言葉に二人は笑顔を浮かべてくれた。強引にでも話を切り上げる判断は、どうやら正しかったようである。
こうして私達は、三人で一緒に寝るのだった。