不運な令嬢の、二度目の恋。
――そんな、とても辛い別れをした彼が目の前にいる。しかも縁談相手として。
「梨菜ちゃんは変わらないね、分かりやすい」
「えっ! そ、そうですか?」
「うん」
あの頃と同じ笑顔を見せて、優吾さんはほうじ茶を飲む。
「……俺は、梨菜ちゃんに謝りたかった。俺の幼稚な行動で君の九年を奪った」
「私のこと、知ってるんですか?」
「……あぁ。聞いている」
「気にしないでとは言えないですけど、でも今ここにいられるのは優吾さんのおかげです。私、暗い部屋で孤独死すると思ってたので」