不運な令嬢の、二度目の恋。
突然のこと
「……お嬢様、梨菜様。旦那様がお呼びです」
朝、目が覚めて起き上がるともう八時が過ぎていた。ほとんど誰も来ないここに執事。専属メイドしか来ないのにまさかの父からのお呼び出し。
どうしてまた……それに私、お祖母様にお許しを受けてないから出れないんですけど。
「私、お祖母様からの赦しを得てないわ。今まで出られなかったのに急に何?」
「大奥様は、お亡くなりになりました」
「……はい?」
「すでに四十九日を過ぎておりますが、何もお聞きではなかったですか?」
いや、聞いてませんが。
そんな大事なこと黙ってたんでしょう……もしかして忘れられていて誰かが「梨菜のこと忘れてた」なんて言ったんじゃないかしら。
「聞いてないわよ。それよりも何の用かしら。私、ずーっとここで孤独死するもんだと思ってたわ」
「……っ、そんなことおっしゃらないでください」
「いや、現実そうじゃない。お祖母様が生きていたら私は孤独死一直線よ」
……というか、こんなに人と会話したのは何年振りかしら。