不運な令嬢の、二度目の恋。



「優吾は変わらないなぁ、頼むのはいつもこれだよね……色褪せぬ恋、か。いつもピッタリだよね」

「なんか今日は飲みたくなった。彼女に会って、話してやっぱり好きなんだって思い知った」

「そうか。あのことは本当だった?」

「信じたくなかったが、噂はマジだった。張本人が亡くなって、状況が変わったらしい」


 噂というのは、彼女……梨菜ちゃんが監禁状態だったというものだ。これは、彼女の父も言っていたことだから間違いない。


「じゃあ、亡くなるまでってことは……本当に、ほぼ九年ほどは部屋の中にいたってことだよな。ひど……そんなに血が大事なのかね」

「今は気にしない家もあるみたいだけど、梨菜ちゃんの家は旧公家華族で皇室のお姫様も降嫁した家らしくて高貴な家ではない血を入れたくなかったんだろう。旧財閥家は毛嫌いしていたらしいし」


 もともと、財閥は庶民の出が多い。江戸時代は御用商人や武士だったり、明治維新などで地位を得た政商や成金だったと聞いている。五辻は前者だが、財閥家自体が血筋で見下されていたらしい。

 ……本当にアホくさいけど。

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