不運な令嬢の、二度目の恋。



 LINEのメッセージを送っても、電話をしても既読にはならない。携帯電話に電話を開けたけど『現在使われておりません』というアナウンスが聞こえるだけ。
 俺は梨菜ちゃんに会いに行こうと、梅ヶ溪家に向かったが門前払い。毎日毎日通って家に入らせてもらったのは一ヶ月後のことだ。そしてようやく会えると思ったのに、来たのは彼女のお祖母様で正確には覚えていないが『旧財閥家なんぞが誇り高き公家華族の邸に入り込むなど』のような言葉を言われて帰るしかなかったのは記憶に残ってる。

 それから俺は、身分以上の地位を手に入れようと必死に努力した。大学は首席卒業をし、会社は五辻商船に入社。同期の奴らに負けぬよう仕事に励み昇進して行ってエリートだと言われるまでに成長した。

 そして、転機は突然訪れる。高辻総領家の次期総領が亡くなったと知らせが入り会社でのことが認められて俺は、総領家の養子として次期総領となった。
 それと同時に梅ヶ溪家の全権力を握っていた大奥様が亡くなったと噂で聞いた。
 だからすぐに打診をしようと高辻総領であり義父に話をしたら大喜びをしていたのでその翌日には梅ヶ溪家当主様にお手紙と自分の写真らを送ったのだ。



 ――そして、今に至る。



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