不運な令嬢の、二度目の恋。
夢では終わらせたくない。
お見合いから三日ほど経った頃。私は、観光のデートの後に優吾くんとディナーに来ていた。
「落ち着いていて素敵なところですね」
「……気に入っていただけてよかった」
ここは【ホテルKAGAMI】というラグジュアリー感溢れるホテルの五十階にある夜景が綺麗なラウンジとなっている。レストランはエレガントだけど落ち着いているオシャレな空間だ。レストランなんて久しぶりだわ……高校入学祝い以来じゃないかしら。
「お待たせいたしました、こちら前菜でございます」
料理が前菜から始まりスイーツに至るまで洗練された味わいでとても美味しかった。
その後も、お酒を飲みながらお話をしてこれまで開いてしまった時間を埋めるかのように話をした。
「……努力をなさったのですね。優吾さんはすごいですね」
「俺はただ、必死だった。梨菜に相応しい男になりたくて。身分以上の地位を手にして梨菜を迎えに行きたかっただけだよ」
「私のために? でも、あのお祖母様は地位よりも身分しか見ていない。優吾さんもお会いしたと聞きました……きっと、今生きていたらまた反対され、その時以上に辛い言葉を浴びせてきますよ」
「俺は梨菜しかいないと思ってる。そう、生きてきた。だから、そんな言葉傷つかない。あの頃とは精神面でも強くなったから、今なら受けて立つくらいの気持ちで話し合いができたかもしれないな」
当時も頼もしかったけど、今の方が何倍も頼もしい。きっと、今も昔も『優良物件』というやつで、超パワーアップしている。