不運な令嬢の、二度目の恋。
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書斎に入れば、ソファに座るように促され座る。座るが、……父は黙ったまま。私は心の中で呼び出したのはあなたでしょ、と一人思ったが声には出さず要件を聞こうとまず挨拶をした。
「……お久しぶりでございます、お父様。何のご用でしょうか?」
「あぁ……先日、母、お祖母様が亡くなった」
「それは、そこにいる執事から聞きました。さっきですけど」
「そうか……梨菜を閉じ込めていた本人のお祖母様が亡くなり、君を閉じ込めておく必要はない。今までこんなに閉じ込めておくつもりはなかった。何もできなかった俺を許してほしい」
父はそう言って頭を思いっきり深々と下げた。前は、私なんかに謝ったこともないのに。
「…………」
「頭は上げてください、だけどどうして。今私を出したんですか? 私、忘れられてると思ってたんですけど……それに、何か理由があるのでは?」
「梨菜が必要だった」
父は立ち上がると、机の引き出しから大きい封筒を一枚取り出した。