不運な令嬢の、二度目の恋。
「……これは?」
私は封筒から二つ折りの台紙と小さな封筒が入っていて「これって……」と恐る恐る父に問いかけた。
「旧財閥家五辻家との縁談だ。梨菜ももう二十七歳だ……すまないが、お見合いをしてもらう」
旧財閥家である五辻家は、明治時代初期に一代で財を築いた財閥家で現在も商船業界を支えている五辻商船は有名で就職したい会社ナンバーワンをキープしている。
そもそも財閥とは、お金持ちの一族が経営する企業グループで企業が他業種の企業に出資して複数の業種の経営を行うコンツェルンの一種であり、それを一族で行っているのが財閥の特徴なのだけど今も名残があるのは数えるほどしかない。そして私の家は、旧華族だが華族よりも身分は下。だが、経済力や政治的影響は旧財閥家の方があるのだ……今も、昔も。
きっとこの婚姻は、閨閥結婚――互いの家格を高めて 絆を強化することが目的だろう。