不運な令嬢の、二度目の恋。
「……え」
「家を強化するためだが、実は、梅ヶ溪貿易社は赤字経営が続いている。このままでは、倒産してしまう。だが、五辻商船が援助を申し出てくれた。その条件が、梅ヶ溪の令嬢との婚姻なんだ」
確かに、私の記憶が正しかったら分家で適齢期の令嬢は私だけだ。それに私の今の学歴は高校卒業のみだし、今まで閉じこもっていたから世間のこと何も知らない。令嬢として役に立てるなら私は閉じ込められた意味がある。
「……分かりました。私、お見合いします」
「ありがとう、梨菜。本当に今まですまなかった」
「いいえ。こちらこそよろしくお願いします」
そうして私は、監禁生活から九年。外の世界に出てすぐにお見合いをすることになった。