バー・アンバー 第一巻
話しはアンバーへと…
口と鼻から煙を吐きながら「そうかな、そんなに俺の目飢えていそうだった?ハハハ。しかしだからと云ってあんなにいい思いをさせてくれた分け?ちょっと今でも真昼の白昼夢だったような気がしてならないんだけど」などと聞くのだが、同時にこんな野暮天な質問をしてママが機嫌を損ねないか怖くもある。未だその白昼夢の真っ只中にいるからだが、しかしそれを押しのけてでも理由(わけ)を知りたかったのだ。あり得ないストリップショー、手のまさぐりを許してくれたこと、昼にも拘らず俺の為に(?)開店してくれたこと、ママの顔付きが激変したこと、さらにはママの言葉のイントネーション等々…不思議なことばかりだ。「ピュグマリオン、ゲンジツノオンナ、スキジャナカタ。デモオンナ、スキ。ダカラクルシイ、サビシイ。アナタトオナジネ」。俺は思わず吹き出してしまった。言葉遣いにではなく俺の心の内を当てられ、それをまさぐられているような気がしたからだ。CT用語ではないがこの瞬間ママと一瞬でも同期したような塩梅ともなる。ママは軽笑して「ウフフ、違う?相当飢えていたわよ、さっきのあなたの目。ピュグマリオンさんに応えてあげなければ、彫像に命を与えてあげなければ…って思った次第。だからピュグマリオンって云ったの。お判り?」。俺は目を丸くした。又してもの豹変だ。外人のというか、CT発音というか、たどたどしかった言葉使いが一瞬のうちに綺麗な日本語へと変わっている。ママへの同期をうち忘れてこの一点に俺の意識が集中する。