バー・アンバー 第一巻
あなたは✕✕✕✕✕✕✕さんではありませんか?!
これはしかしなぜそうなるのか?思うにミキと云うPTOを与えられたこの本当の、つまり被害者の霊は恐らくこのPTOにいる方が楽なのだ。覚えておられるだろうか?ミキの正体を探るべく俺が〝突っ込み〟を入れた時のミキのセリフを。ミキはこう云ったのだった。
「そう!そう!そうなの!田村さん…わたしは本当に寂しいのよ!そして怖いのよ!廻りは真っ暗っ!…何もありゃしないし、何も見えない。怖くって、寂しくって、悲しくって…それで堪えられなくなった時に、アイツからお誘いが来るのよ…」
この被害者の霊を仮にここではアキとでもしておこうか。このアキが抱くべき本当のPTO,シチュエーションはほぼ間違いなく殺害された時のそれだろうし、それ加うるに殺害に至る前に彼女が抱いていただろう人恋しさと云うか、先のオンディーヌ指向ではないかと想像しているのだ。そう想像する分けは生前アキこと被害者OLが置かれていた職場における疎外感と寂しさを慮ってのことだし、そしてそれゆえに彼女が走った売春行為を慮ってのことだ。アキは魂の虚ろさに堪えられなかったのだろう。とにかくその本当のPTOがミキの仮面を押しのけて(俺の誘導によって)出てくるのはこれは当然のことと思われる。で、事ここに至って俺が対面すべきはミキではなくアキであるということだ。さても、どうも大変遠回りさせてしまった。切時に戻ろう。
「ミキ、落ち着いて。すまない、俺の云い方が悪かった。訂正するよ。俺が聞きたかったのは君の正体だ。つまり君がアイツから与えられた仮の姿にではなく、本当の君に聞きたかったんだ」
「本当のわたしって…田村さん、な、何を云いたいの?ごめんなさい、もしわたしがあなたの気を悪くさせたんだったら、わたし、あやまるから…」
ええい、じれったいとばかり俺は押し切った。実に不憫でやるせなかったが。ミキの今のセリフもミキ(いやアキか)としての本音なのだ。人との切なる交わりを求めるという。それを充分知りつつも俺は
「いや、気を悪くさせたなんてそんなことはないよ。そうではなく、うしろに隠れている君に…い、いやあなたに聞きたい。あなたは✕✕✕✕✕✕✕さんではありませんか?」
「そう!そう!そうなの!田村さん…わたしは本当に寂しいのよ!そして怖いのよ!廻りは真っ暗っ!…何もありゃしないし、何も見えない。怖くって、寂しくって、悲しくって…それで堪えられなくなった時に、アイツからお誘いが来るのよ…」
この被害者の霊を仮にここではアキとでもしておこうか。このアキが抱くべき本当のPTO,シチュエーションはほぼ間違いなく殺害された時のそれだろうし、それ加うるに殺害に至る前に彼女が抱いていただろう人恋しさと云うか、先のオンディーヌ指向ではないかと想像しているのだ。そう想像する分けは生前アキこと被害者OLが置かれていた職場における疎外感と寂しさを慮ってのことだし、そしてそれゆえに彼女が走った売春行為を慮ってのことだ。アキは魂の虚ろさに堪えられなかったのだろう。とにかくその本当のPTOがミキの仮面を押しのけて(俺の誘導によって)出てくるのはこれは当然のことと思われる。で、事ここに至って俺が対面すべきはミキではなくアキであるということだ。さても、どうも大変遠回りさせてしまった。切時に戻ろう。
「ミキ、落ち着いて。すまない、俺の云い方が悪かった。訂正するよ。俺が聞きたかったのは君の正体だ。つまり君がアイツから与えられた仮の姿にではなく、本当の君に聞きたかったんだ」
「本当のわたしって…田村さん、な、何を云いたいの?ごめんなさい、もしわたしがあなたの気を悪くさせたんだったら、わたし、あやまるから…」
ええい、じれったいとばかり俺は押し切った。実に不憫でやるせなかったが。ミキの今のセリフもミキ(いやアキか)としての本音なのだ。人との切なる交わりを求めるという。それを充分知りつつも俺は
「いや、気を悪くさせたなんてそんなことはないよ。そうではなく、うしろに隠れている君に…い、いやあなたに聞きたい。あなたは✕✕✕✕✕✕✕さんではありませんか?」