妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
Prologue
 どうしていつも、こうなるんだろう。

 私が欲しい物や大切な物はいつも、

 妹に横取りされる。


 大切にしていた、ウサギのぬいぐるみ、

 お気に入りのリボン、

 好きだった後輩の男の子、

 告白してきてくれた同級生、

 大好きなパパとママ。

 私が大切だと思うモノは全て、

 奪われてきた。


 要領が良くて、可愛くて、いつも周りから愛される妹。

 それに引き換え私は、要領が悪く、何をやってもパッとしない、冴えない女。

 だけど別に、

 高望みなんてしない。

 ただ穏やかに、大切だと思うモノに囲まれて暮らしていければ、

 それだけで良かったのに……



「……どうして?」
「――ごめん、亜夢(あむ)
「……ごめんなさい、お姉ちゃん……本当に、ごめんなさい」

 大学進学を機に実家を出てから約八年、居心地の悪かった場所とおさらばしてようやく手に入れた自分の居場所。

 大学を卒業して社会人二年目には、彼氏も出来た。

 実家に顔を出す事はほぼ無くて、両親とは年に数回、同じく実家を出ていた妹とは今まで全く顔を合わせる事は無かったから平和に暮らせていたのに、

 ついひと月程前、両親には言えない相談があると泣きついて来た妹の有紗(ありさ)が私の前に現れた事で、全てが壊れてしまった。

 そして、

 いつの間に親密な関係になったのか、

 私が居ない間、私と交際中の彼、貴将(たかまさ)が住む部屋のベッドの上で、

 二人は抱き合い、名前を呼び合って、愛を囁きながら、私が帰ってきた事にも気付くことなく、セックスをしていた。

 目を疑ったし、信じられなかった。

 やっぱり、どんな理由があっても、有紗に関わってはいけなかった。

 有紗は、悪魔のような女なのだ。

 こうして私はまたしても、

 有紗に、大切なモノを奪われた。
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