妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
(……狂ってる……本当、有り得ねぇ……)
こういう奴は、何をするか分からない。
今はまだ嫌がらせ程度に留まっているけど、この先犯罪紛いの事が起こらない保証も無い。
一刻も早く手を打たないと危険だと判断した俺は、考えていた事を実行に移す決断を下した。
「――分かった、それじゃあ俺が亜夢から離れる」
「えー? そんなの信用出来ないよ」
「まあそうだろうな。まず、俺は荒木田の家に戻る。今の仕事も辞めて、完全に実家へ帰る」
「それで?」
「俺が実家へ戻るって事は、自由が無くなるって事だ。それは恋愛に関しても同じ事。どんなに好きでも、俺の意見なんて通らない。亜夢とは、どのみち別れる事になるだろう」
「…………」
俺の言葉に信憑性を感じてきたのか、少しずつ食いついてくる。
勿論、これは全て嘘。
誰に何を言われようと亜夢と別れるつもりは、1ミリもない。
今はとにかく亜夢に危険が及ばないようにする事が最善だと思ったから、離れるという選択をしたまで。
だけど俺は、嘘でも亜夢に『別れよう』とは言いたくない。
たとえ亜夢の為だとしても、そんな嘘はつけない。
けれど有紗相手に生半可な事を言っても納得しない事は分かってるから、亜夢に別れを告げず、傍に居ないだけで有紗を納得させるにはどうすればいいかを考えた結果、俺はこんな提案をしてみせた。
「ただ、俺は自分から別れを告げるってのは好きじゃないから、直接『別れよう』とは言わない」と。
「はあ? それじゃあ別れた事にならないじゃない」
そう有紗が言うのは最もで、これは想定内。
だけどここで有紗は何かに気付いたらしく、口角を上げながら「…………あ、でもそっか、それもアリね。ふふ」と独り言を言いながら俺を見ると、
「いいわ、百瀬くんは別れを切り出さなくて。突然離れて、会えない日が続く方が精神的に堪えるわよね。そして挙句の果てに信じていた彼に婚約者がいて別れの事実を突きつけられる。その方が別れを切り出されるよりもよっぽど辛いものね。あー今からワクワクしてきたぁ」
俺の思惑通り、有紗は亜夢に精神的なダメージを与えられると喜び、一人テンションを上げていた。
(本当に、とんだ女だよ、コイツは)
とまあ有紗が納得してくれたおかげで俺は嘘でも亜夢に別れを切り出さなくて良くなった訳で、その事に安堵しながら話を続けていく。
こういう奴は、何をするか分からない。
今はまだ嫌がらせ程度に留まっているけど、この先犯罪紛いの事が起こらない保証も無い。
一刻も早く手を打たないと危険だと判断した俺は、考えていた事を実行に移す決断を下した。
「――分かった、それじゃあ俺が亜夢から離れる」
「えー? そんなの信用出来ないよ」
「まあそうだろうな。まず、俺は荒木田の家に戻る。今の仕事も辞めて、完全に実家へ帰る」
「それで?」
「俺が実家へ戻るって事は、自由が無くなるって事だ。それは恋愛に関しても同じ事。どんなに好きでも、俺の意見なんて通らない。亜夢とは、どのみち別れる事になるだろう」
「…………」
俺の言葉に信憑性を感じてきたのか、少しずつ食いついてくる。
勿論、これは全て嘘。
誰に何を言われようと亜夢と別れるつもりは、1ミリもない。
今はとにかく亜夢に危険が及ばないようにする事が最善だと思ったから、離れるという選択をしたまで。
だけど俺は、嘘でも亜夢に『別れよう』とは言いたくない。
たとえ亜夢の為だとしても、そんな嘘はつけない。
けれど有紗相手に生半可な事を言っても納得しない事は分かってるから、亜夢に別れを告げず、傍に居ないだけで有紗を納得させるにはどうすればいいかを考えた結果、俺はこんな提案をしてみせた。
「ただ、俺は自分から別れを告げるってのは好きじゃないから、直接『別れよう』とは言わない」と。
「はあ? それじゃあ別れた事にならないじゃない」
そう有紗が言うのは最もで、これは想定内。
だけどここで有紗は何かに気付いたらしく、口角を上げながら「…………あ、でもそっか、それもアリね。ふふ」と独り言を言いながら俺を見ると、
「いいわ、百瀬くんは別れを切り出さなくて。突然離れて、会えない日が続く方が精神的に堪えるわよね。そして挙句の果てに信じていた彼に婚約者がいて別れの事実を突きつけられる。その方が別れを切り出されるよりもよっぽど辛いものね。あー今からワクワクしてきたぁ」
俺の思惑通り、有紗は亜夢に精神的なダメージを与えられると喜び、一人テンションを上げていた。
(本当に、とんだ女だよ、コイツは)
とまあ有紗が納得してくれたおかげで俺は嘘でも亜夢に別れを切り出さなくて良くなった訳で、その事に安堵しながら話を続けていく。