妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
「えっと、それじゃあ、お風呂……一緒に入る?」

 拗ねた彼の機嫌を取ろうと思ってそう提案してみたものの、

「亜夢さ、それってわざとなの?」
「え?」
「風呂なんて一緒に入ったら、余計に我慢出来ないんですけど……。やっぱり、誘ってる?」
「え? そ、そんな事ないよ……。その、深く考えて無かった……ごめんね?」
「はあ……。亜夢の天然には困ったもんだ……。いいよ、今日は我慢する。お風呂も、一緒に入りたいところだけど、理性が効かなくなるから今日はいいや。その代わり、明日は覚悟してよね? 嫌だって言っても、絶対に逃がさないし、離してあげないから」
「……っ! わ、分かった……」

 不敵な笑みを浮かべる百瀬くんに戸惑いつつも、明日の事を考え、体力はもつのか、眠れるのだろうか、なんて心配をしながらも密かに期待している私がいた。

 それから各々お風呂に入り、いつもより早めにベッドに横になった私たちは、明日に備えて眠る事にした。

 さっき納得したはずなのに、やっぱりどこか不満そうな百瀬くんを宥めるように抱き締めてみると、それ以上の力で抱き締め返してきた百瀬くん。

 見つめ合った後に軽く啄むようなキスを幾度か繰り返し、温もりを確かめ合うようにギュッと抱き締め合ったまま、私たちは眠りについた。


 そして、翌日――。

 予定より少し早めに向かった私たちはそれぞれに別れて準備をして貰う。

 昨日エステを受けたからか、今日はいつも以上に肌のコンディションも良くて、化粧のノリも良い。

 事前に打ち合わせをしていた通りのヘアスタイルやメイクを施して貰い、ウエディングドレスを着る。

 今日はチャペルを貸し切っているので、三着のドレスを着てウエディングフォトも撮ってもらうのだけど、今着ているこのドレスが一番気に入っていたりする。

 Aラインのこのドレスはビジューや刺繍などの装飾品が少ないもののスカート部分のタッキングが存在感をアピールしてくれている純白のアシンメトリードレスで、腰の辺りに付いているコサージュがアクセントになっていたりする。

 派手過ぎず、シンプルだけど可愛い、そんなドレスにしたいと思っていたから、私的にはとても満足だった。

 一番のお気に入りのドレスを身に纏い、先に着替えを済ませた百瀬くんが待っている大聖堂へと向かう。

 そして、スタッフさんによってドアが開かれ、正面にある大きな窓から映し出される澄んだ青空をバックに立っている百瀬くんの元へ向かう為、白と青を基調とし、周りに沢山の花が飾られたバージンロードをゆっくり、ゆっくりと進んで行った。
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