妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 分け目をはっきりつけず、額を出しながら片側から逆方向へと流したサイドバックのヘアスタイルに黒のタキシードと蝶ネクタイをしている百瀬くん。

 いつもと少し違う彼にドキドキしつつ、差し出された手を取ると、

「亜夢、凄く綺麗だよ」

 微笑みながらそう口にしてくれたので、少し照れ臭くなりながらも「ありがとう」と返した。

 そして、神父様の前で愛を誓い合い、指輪を交換をするのに左手を差し出すと、百瀬くんが優しく指に触れてくる。

 結婚指輪も、二人で話し合ってオーダーメイドしたもの。日常生活で付けるものだから本当にシンプルなものにした。お揃いの指輪を身に付けているという事が嬉しいから、どんな物だって良いの。

 薬指に指輪が嵌った瞬間、こんなに幸せでいいのかなと思い、思わず涙が溢れそうになった。

 それから私が百瀬くんの指に指輪を嵌めたのだけど、彼もまた同じような感情だったみたいで、「何か、嬉し過ぎて泣きそう」なんて言葉をポロッと口にしていた。

 その後で誓いの口付けを交わした時、短いキスが何だか少し新鮮で、顔を見合せた私たちは自然と微笑み合った。


 誓いを立てた後はそのまま何枚か写真を撮ってもらい、外へ出てウエディングフォトを撮ってもらう。

 施設内の様々な場所で撮り終わると、一旦控え室へと戻り次のドレスの準備に取り掛かる。

 残りのドレスは、純白でクラシカルレースがドレス全体を彩ってくれているマーメイドタイプのものと、ミニリボンが付いたビスチェに、ふんわりとしたミニスカート丈の薄ピンク色のドレス。

 写真に残すなら三着共違いのある方がいいという事で決めたもの。

 百瀬くんはネクタイやチーフやベストを水色に揃えた白いタキシードと、ネイビーブルーのフロックコートを用意している。

 着たかったドレスを着て、百瀬くんとの思い出の写真を沢山撮って貰って、私たちは二人だけの結婚式を満足いく形で終える事が出来たのだった。
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