妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 そして、挙式と新婚旅行を終えてから数ヶ月後――。


 二人きりの時間を満喫しようねと話していた私たちの元に、神様は新たな命を授けてくれた。

 それを知った時、私も百瀬くんも嬉しくなって、思わず泣いてしまった。

 おじいさんやおばあさん、お義父さんやお義母さんも、もの凄く喜んでくれた。

 まだまだ実感は沸かないけれど、私のお腹に命が宿っているんだと思うと、不思議な感じがした。

 私の実家には、報告してない。有紗からは定期的に手紙が届くけど、私の方から返事はしない。

 反省しているのはわかるけど、私としては、関わり合いになりたいとは思えないし、有紗も返事は望んでいないようだから。

 でも、いつか許せる日が来たら、その時は返事をしようと思っている。


 思えば、これまで沢山の事があって、百瀬くんと結婚をして、それだけでも充分過ぎるくらいの幸せを貰ったのに、それ以上の幸せがこれからも訪れるのかと思うと、少しだけ怖くなる。

「私、こんなに幸せでいいのかな?」
「どうしたの、突然」
「だって、今でも凄く幸せなのに、この子が生まれたら、もっともっと幸せな気持ちになるでしょ? 何だか幸せ過ぎて、これ以上の幸せを望んでもいいのかなって、不安になったの……。壊れてしまわないか、不安になるの……」

 幸せが怖いなんて、可笑しいかもしれない。

 だけど、百瀬くんはそんな私の言葉を否定する訳でもなく、ただ私の身体を抱き寄せながら言葉を紡ぐ。

「俺は亜夢が傍に居るだけで幸せだけど、貪欲だから、もっともっと幸せになりたいって思ってる。幸せに終わりなんて無いよ。自分次第でいくらでも作れると俺は思ってる」
「……百瀬くん」
「大丈夫。亜夢の幸せは壊れたりしないよ」
「どうして、そう言い切れるの?」
「だって、俺が亜夢の事も生まれてくる子供の事も幸せ出来る自信があるから。二人が望む限り、俺は二人を愛し抜くし、誰よりも幸せにするよ。だから、不安なんて感じなくていい。不安に思ったら、すぐに話して? 安心出来るまでずっと、こうして抱き締めてあげるから」

 そうだ、私はもう、昔の私とは違う。

 いつ幸せが崩されるかと脅えていた日々はもう無い。

「百瀬くん、ありがとう……大好きだよ」
「俺の方こそ、ありがとう。俺も、亜夢が大好きだ」

 百瀬くんが隣に居てくれれば、私はずっと、幸せで居られるんだから。

 これからも、もっともっと、幸せになろう――大切な家族と共に。


 -END-
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