妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】

　正直声も聞きたくないけど、仕方なく通話ボタンを押して電話に出た。

「……何の用？」
「そんなに怒らないでよ、お姉ちゃん」
「……あのね、あんな事されて怒らない人間がいると思う？ 寧ろ、よく電話を掛けて来られるよね」
「そんな事言われても……言い寄って来たのは彼の方からだよ？ 私は初め、断ったもん。お姉ちゃんに悪いって。でも、大丈夫だから、バレないからって……」

　何だか全てを貴将に責任転嫁しているけれど、私には分かる。そもそもの原因は有紗にあると。

　それでも、今はもうそんな事どうでもいい。

　全て、終わった事なのだから。

「……どっちからだなんて、どうでもいいよ。それよりも何なの？ 用があるなら用件を言ってよ」

　そもそも、何故わざわざ電話を掛けてきたのか、それが気になった私が用件を言うように促すと、

「今、お姉ちゃんは何処にいるのかなって気になって」
「どこだっていいじゃない。教えるわけないでしょ。貴将とお幸せに」

　どこまでも無神経な有紗を相手にするだけ無駄だと思った私は電話を切ろうと一方的に話を終わらせようとすると、

「ふふ、お姉ちゃん、それ本気で言ってる？」

　そう嘲笑うような口振りで問い掛けてきた有紗。

「何が可笑しいのよ？」と苛立ちながら聞き返すと、

「貴将くん(あんなクズ)が本命な訳ないじゃない。顔が良くて高収入だから、奪った(もらった)だけだよ？」

　飛んでもない答えが返ってきて、驚いた私は声を発する事すら忘れてしまった。

　信じられない。本当に、有紗は人の人生を何だと思ってるのだろうか。

　きっと、自分以外の人間は皆引き立て役のモブか何かだと思っているに違いない。

　こんな女に騙された貴将を不憫に思うも、やはり自業自得だと思った。

「あっそう、何でも良いけど、そんな風に男を弄んでばかりいたら、いつか刺されるわよ？」
「ふふ、ご忠告ありがとう、お姉ちゃん。でも大丈夫。私は上手くやってるから。お姉ちゃんこそ、いい加減身の丈に合った地味で平凡な男と一緒になったらいいんじゃない？ 地味同士、お似合いだと思うよ？ それじゃ、またね」

　私が偉そうな事を言ったのが気に入らなかったのか、嫌味な台詞を残して一方的に電話を切ってしまった。