妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 それでも、あの日以降あの女と会う事は無かった。


 季節は巡り、高校に進学した俺は一年の秋から約二年間、親父が海外勤務に行くのに合わせて海外に行った。

 海外にいる間、思い出すのはあの日出逢った女の事ばかり。

 あの時彼女は高校二年生。

 三年の秋くらいに日本へ戻ってきて、何となくもう一度あの橋へ出向いてみたけど、彼女はもう高校も卒業しているだろうから、この町にはいないかもしれない。

 結局会えずじまいに終わり、俺も高校を卒業して大学へと進学した。


 大学に行ってからは、またつまらない日常の幕開けだった。

 地元は離れたものの『荒木田』の姓は切り離す事が出来ず、相変わらず俺の周りには俺の家柄目当てみたいな奴らばかりが集まった。

 それは、男も女も。

 そんな中でもそれなりに心を許せる仲の良い奴は出来て、まあまあ楽しい大学生活は送れていたと思う。

 友達に誘われて、合コンにも参加したし、付き合いはしないけど、互いに遊びと割り切ってセックスだってした。

 俺は本命を作る気が無いから、それで良いと思ってた。

 けど、周りの女はそうは思わない奴ばかりで、一度寝ただけのくせに彼女面して束縛しようとしたり、しつこく迫ってくる奴も居た。

 その度、あしらうのが面倒になった俺は考えた。

 それなら、とりあえず付き合って、相手に嫌われればいい、愛想をつかれればいいんだと。

 それからは、簡単だった。

 言い寄って来た女は来る者拒まず、けれど、去る者も追わない。

 完全にクズな男だと、自分でも思っていた。

 だから、俺と付き合いながら他の男と浮気する奴だっていた。

 中には俺の部屋でヤッてる奴も居て、その女と俺の友達だった奴には流石にイラついたりもした。

 けど、それも全て自業自得。

 こんな付き合い方しか出来ないんだから何をされても仕方ない。

 適当に性欲が満たせて、後腐れなく終われれば、それで良かった。


 大学を卒業して、知り合いの社長の計らいで俺はようやく『荒木田』の姓を名乗らずに過ごせるようになった。

 それでも、異性に対する態度は変わる事が無くて、『九條』の姓を名乗っていても尚、俺はこれまで通りのスタイルを貫いた。

 そして、『九條』の姓になってから初めて付き合う事になったのが、亜夢の妹――道枝 有紗だった。
< 71 / 171 >

この作品をシェア

pagetop