妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】

「百瀬くん？」
「亜夢は、優し過ぎるよ」
「え？」
「言われっぱなしじゃなくて、アイツにもっと言い返さなきゃ駄目だって」
「……でも……」
「それとさ、これからはアイツから連絡来ても、受けない方がいいよ。あの様子だと、絶対にまた連絡してくると思う」
「そうかな？」
「そうだよ。アイツは何して来るか分からないし、何より……これ以上亜夢が傷付いてる姿、俺は見たくない」
「百瀬くん……」

　私が弱いばかりに、彼に心配を掛けている。

　私もいい加減、変わらなきゃ、強くならなくちゃ。

　自分の幸せは、自分で守らなきゃ。

「……分かった、もう金輪際、有紗からの連絡は受けない」

　私はズボンのポケットからスマホを取り出すと、有紗からの着信やメッセージを拒否設定にする。こうでもしないと、無視出来ないと思うから。

「強要するような事言って、ごめん」
「ううん、百瀬くんは悪くないよ。私もね、いつかはこうしなきゃって思ってた。私自身ももう、これ以上あの子に関わりたくないから、これでいいの」

　着信拒否にしたところで有紗は簡単に引き下がるとは思えないし、また偶然を装って私たちの前に現れるかもしれない。

　だけどもう極力関わりたくないから、出来る事からやるしかない。

「……私、強くなるね。もう有紗に私の大切なものは何も奪わせたりしない」
「亜夢……」

　私の大切なもの……それは百瀬くんとの穏やかで幸せな暮らし。

　大切な百瀬くんとこれからもずっと一緒に居る為にも、私は有紗を許さない。

　これ以上、好き勝手をさせたりはしない。

「だけど、これだけは約束して欲しい」
「何？」
「連絡が取れなくなったと分かったら、アイツは直接現れる。俺が一緒に居る時なら何も問題無いけど、亜夢が一人になった時を狙ってくるかもしれない。だから、もし万が一そうなった時には、絶対に一人で相手はしないで。すぐ俺に連絡する事。いい？」
「……うん、分かった」

　百瀬くんは本当に、私を心配してくれる。

　過保護だなって思う時もあるけど、それだけ私を大切に思ってくれてるんだと思ったら嬉しくなる。

　有紗がどうでるか分からないし、さっきスーパーで別れた時に向けられた視線を思い出すと多少の恐怖もあるけど、百瀬くんが居てくれるから大丈夫。

　私は百瀬くんの方に向き直って彼の胸に身体を寄せると、そのままギュッと抱き着いた。