世界を救わなくったって
テイル目線
フィアーバは勇者らしい。
世界を救うべき、勇者になるにふさわしい人物だって、王様が言ってたらしい。
詳しくは知らない。
田舎の小さな村に住んでいる私は、王都に行ったことなんて一度もない。
でも、フィアーバは何度か、家族の仕事の手伝いで王都に行っていた。
多分、その時に王様と会ったのだろう。
「魔王討伐……?」
「そう。俺、魔王を倒さなきゃいけないんだ」
目の前に立っているフィアーバは、なんてことないように言っている。
彼の銀色の髪が、夕日に照らされてキラキラしている。
今の私には、彼の髪を綺麗だと感じる余裕はなかった。
え?
魔王?
魔王って、魔族のボスだよ?
なんで?
なんでそんな危険なヤツを、フィアーバが倒さなきゃいけないの?
「世界を救わなきゃいけないんだってさ」
フィアーバは「なんでよりによって、俺なんだろうな」と、小さくこぼした。
世界を救うべき、勇者になるにふさわしい人物だって、王様が言ってたらしい。
詳しくは知らない。
田舎の小さな村に住んでいる私は、王都に行ったことなんて一度もない。
でも、フィアーバは何度か、家族の仕事の手伝いで王都に行っていた。
多分、その時に王様と会ったのだろう。
「魔王討伐……?」
「そう。俺、魔王を倒さなきゃいけないんだ」
目の前に立っているフィアーバは、なんてことないように言っている。
彼の銀色の髪が、夕日に照らされてキラキラしている。
今の私には、彼の髪を綺麗だと感じる余裕はなかった。
え?
魔王?
魔王って、魔族のボスだよ?
なんで?
なんでそんな危険なヤツを、フィアーバが倒さなきゃいけないの?
「世界を救わなきゃいけないんだってさ」
フィアーバは「なんでよりによって、俺なんだろうな」と、小さくこぼした。
< 1 / 51 >