世界を救わなくったって
護衛の人達は、「オネスト様が申し訳ございません」と、私達に何度も頭を下げながら、部屋を出る。

二人だけになった室内は、とても静かだった。


「……もっと面倒くさいことになっちゃったわ……」


フィアーバの母親は頭を抱えていた。

どうすれば、フィアーバをオネストと結婚させずに済むか、考えてみる。

そもそも、王様はオネストとフィアーバの結婚には反対している。
オネストの言い方では、フィアーバがもし仮に魔王を倒しても、「結婚について考えてやってもいい」くらいの解釈だ。
でも、魔王を倒したとなれば、国民からは英雄として尊敬されるし、人望も手に入る。
そんな英雄がお姫様と結婚となれば、国民は喜んで祝福するだろう。


「フィアーバが、魔王を倒さなければいい」


私は、その結論にたどり着いた。


「どういう意味?」


フィアーバの母親が、ギロリと私を睨んだ。
私は慌てて、自分の考えを説明する。


「フィアーバが魔王を倒せば、フィアーバがオネストと結婚するんですよね?私が魔王を倒せば、フィアーバはオネストと結婚しなくて済みますよ!」

「テイルちゃん、天才!!」


フィアーバの母親は、私の頭をワシャワシャと撫でた。
< 11 / 51 >

この作品をシェア

pagetop