世界を救わなくったって
魔王城に近付くにつれて、魔王の部下らしき魔族が増えている。

まぁ、ハンマーで叩けば倒せるんだけどな。


「フィアーバ、なんでそんなに急ぐんだ?」


ぜぇぜぇと肩で息をしているムンターさん。
魔族との戦闘が続いているから、疲れているのだろう。


「村に、幼馴染がいて」

「……病気か?それとも、魔族に呪いでもかけられたか?」

「いいえ。早く戻らないと、幼馴染に下心を持ったヤツが近付くかもしれないので」

「あ~……」


首を横に振った俺を見ながら、ムンターさんは空を飛んでいる魔族に炎魔法で攻撃した。

疲れていても攻撃するあたり、魔力にはまだ余裕があるらしい。


「だから、王様への報告をすっぽかして、村に戻りたがっていたのか」

「はい」

「フィアーバは好きでもない人と結婚させられるかもしれないしな」

「……どうすれば、その可能性を消せますか?」

「オネスト様が、他の人を好きになるしかないな」


王様の子供は惚れっぽい性格みたいだから、運がよければいけるか?
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