世界を救わなくったって
元の大きさに戻した証拠を見せると、王様たちはさらに引いていた。


「本当に人間か?」


人間か疑われる始末である。

王様はコホンと咳ばらいをすると、笑顔を貼り付けた。


「よくやった、テイル、ムンター、フィアーバ。感謝する」


主に頑張っていたのは、フィアーバだけどな。


「魔王討伐の報酬は、後日渡すとしよう。なにせ、予想してたよりも討伐が早すぎてな……」


遠い目をする王様。

報告はとりあえずこれで終わりだな。
王様に「旅の疲れを癒してくれ」と言われ、フィアーバとテイルは高級宿屋の部屋を用意されていた。

俺は自分の家が王都にあるから、宿屋には泊まらない。


「フィアーバ」

「どうかしましたか?」


手招きすると、フィアーバは素直に俺に近付いた。


「テイルなんだけど」


テイルの名前を出しただけで、フィアーバに鋭い眼光を向けられる。

なんでお前は、テイルが絡むと余裕がなくなるんだよ……


「テイルは、お前が好きでもない人と結婚しないように、魔王を倒したんだぞ」

「…………???」


なんでピンときてねぇんだよ!?


「ちゃんと話せよ?会話がかみ合ってるようでかみ合ってねぇから」


あまり口を出すのもよくないので、もう家に帰ろう。

疲れた……
久しぶりに、家に帰れる……
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