世界を救わなくったって
俺も自分の部屋の鍵を受け取り、部屋に向かう。

無駄にきらびやかな廊下を歩いていると、部屋のドアの前で挙動不審になっているテイルが視界に入った。


「……何してるんだ?」


俺が声をかけると、テイルは身体をこわばらせ、こちらを見た。
しかし、すぐに顔を背ける。

顔すら見たくないらしい。
ショックを受けながらも、テイルに近付く。

テイルの手には鍵が握られていた。
しかし、その手は震えている。


「魔族との戦いで、毒をくらったのか?」

「ち、違う……」


テイルはそう答えながら、半歩、横にずれた。

俺のこと、そんなにキライか?
村にいたときは、あんなに仲が良かったのに……
もしかして、村の人たちに不仲だと心配されないように、俺と仲良くしていたのか?

テイルは、鍵を開けようと、鍵穴に鍵を差し込もうとしている。
震えているので、鍵穴にはなかなか鍵が入らない。

俺はテイルの手ごと鍵を掴み、鍵穴に鍵を差し込んだ。
そのまま鍵を回す。

ガチャリと、鍵が開いた。
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