世界を救わなくったって
数分程経つと、涙が止まったのか、テイルが口を開いた。


「フィアーバがオネストと結婚するの、イヤだ……」


そりゃあ、認めたくはないけれど、テイルは王様の子供が好きらしいから、そう思うだろうな。


「だから、魔王を討伐したのか?」

「うん」

「……そうか……」


こんどは、俺が泣きそうになっている。

顔を見られないように、テイルの肩に顔を押し付ける。

俺より小さいこの身体で、テイルは魔王を倒したんだ。
その事実は、一生ひっくり返せない。


「……ごめんね、フィアーバ」

「なんで謝るんだよ……」

「私、自分のために、魔王を倒したの……」


知ってる。


「フィアーバがそんなに、オネストのことを好きだったなんて……」


……ん?

俺は顔を上げて、テイルの顔を見る。
テイルはさっきまで泣いていたから、目のまわりが赤くなっている。


「ごめんね。私、フィアーバがオネストのことを好きって、受け入れられないの……」


なんで、俺が王様の子供を好きなことになってるんだ?
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