世界を救わなくったって
兄と姉たちに(とが)められ、オネストはキュッと下唇を噛んだ。

私は性格が悪いので、いい気味だなぁとか思いながら、オネストたちのやり取りを見ていた。
こんな性格だから、私はフィアーバに告白できないんだろうなぁ……
私も未熟者だと目の当たりにしている。

パーティー会場に人が集まり、騒がしくなる。

ひぃ……緊張する……!
こんな大人数の前で、紹介されるの?
恥をさらさないようにしないと!

王様が、会場に集まった人たちの注目を集めるように、音声拡張魔法を使い、パーティー開催の宣言やら、いろいろな事を話した。
緊張のせいなのか、王様の言葉が頭に残らない。

どのように紹介されるかなんて、知らないし、一言求められても何か言えるように、いろいろ考える。
魔族と戦ったときでさえ、こんなに考えたりしなかったのに。


「___そして、魔王討伐を実現させた勇者を紹介しよう。勇者テイル。こちらへ」

「はいっ」


声が裏返ってしまった。

もう私はダメかもしれない。
でも、ここで帰ったら、さらにダメになってしまう。

ころばないように、王様の近くに移動した。
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