世界を救わなくったって
痛いのか、男の人の顔が引きつっている。
「おやおや、ずいぶんと野蛮な男だな」
「手を離せ」
フィアーバが低い声で命令する。
男の人は奥歯を噛みしめると、掴まれていないほうの手を、フィアーバの顔めがけて突き出した。
男の人の手には、小型のナイフが握られている。
「フィアーバ!」
私はとっさに、男のナイフを掴む。
手のひらが熱を帯び、指のすきまから赤い液体が垂れる。
「なっ!?」
「テイル!」
私の行動が予想外だったのか、男とフィアーバは目を見開いた。
隙だらけの男の顎を蹴り上げる。
「うぐっ!?」
男はナイフを手放し、倒れる……と思われたが、フィアーバが男の手首を掴んだままだったので、尻餅をついた。
少し間を開けて、護衛の人たちが走ってきた。
男は護衛の人たちに連れて行かれる。
「す、すごい!」
「勇者様はドレスを着ていても強いんだな!」
一部始終を見ていた人が盛り上がっている。
いや……
本当にすごいのは、男が武器を隠し持ってると気付いたフィアーバでしょ。
「おやおや、ずいぶんと野蛮な男だな」
「手を離せ」
フィアーバが低い声で命令する。
男の人は奥歯を噛みしめると、掴まれていないほうの手を、フィアーバの顔めがけて突き出した。
男の人の手には、小型のナイフが握られている。
「フィアーバ!」
私はとっさに、男のナイフを掴む。
手のひらが熱を帯び、指のすきまから赤い液体が垂れる。
「なっ!?」
「テイル!」
私の行動が予想外だったのか、男とフィアーバは目を見開いた。
隙だらけの男の顎を蹴り上げる。
「うぐっ!?」
男はナイフを手放し、倒れる……と思われたが、フィアーバが男の手首を掴んだままだったので、尻餅をついた。
少し間を開けて、護衛の人たちが走ってきた。
男は護衛の人たちに連れて行かれる。
「す、すごい!」
「勇者様はドレスを着ていても強いんだな!」
一部始終を見ていた人が盛り上がっている。
いや……
本当にすごいのは、男が武器を隠し持ってると気付いたフィアーバでしょ。