世界を救わなくったって
人通りの少ない通路を歩く。

フィアーバたち、どの部屋にいるんだ?

ちょっと酔っているせいか、少しふわふわしている。


「あ、フィアーバ」

「ムンターさん、何してるんですか?」


とある扉の前を通過した時、丁度、フィアーバが部屋から出て来た。
テイルと手を繋いでいるのは今までも何度もあったが、恋人繋ぎをしているのは初めて見た。
テイルは恥ずかしいのか、目を伏せている。


「……やっと付き合ったのか」


繋がれている手から、フィアーバの顔に視線を移す。


「結婚します」

「なんだって???」


フィアーバの言葉が俺の考えの一歩先をいってたので、思わず聞き返してしまった。


「だから、結婚しますって」

「聞こえてた聞こえてた」


聞こえなかったわけじゃねぇよ。

あー、なんか酔いがさめた気がする……


「丁度いいや。オネスト様、まだフィアーバを諦めてないぞ」

「えぇ?」


フィアーバは顔をしかめた。
気持ちはわかるが、今はおさえろ。


「オネスト様が精神的に穏やかじゃないから___」

「フィアーバ様!」


俺の言葉を大声でさえぎったのは、オネスト様だった。
ドレスの裾をあげて、こちらにかけてくる。
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