【短編】私、彼女失格です!?
「あいちゃん!おはよ。」
今日も朝からゆずと一緒に学校に行っている。
朝は優とは会わない。
ゆずにバレるのもあるし、優も友達達同士で行ってるから。
住宅街を抜けて、学校が見えてきたとき、突然ゆずが改まった顔をした。
さっきまで先生のモノマネして
「似てる?ねえ似てるよね?あたし、才能開花したかも。」とか言ってゲラゲラ笑ってたのに。
「どうした?ゆず。急にテンション降下した?」
私は心配になって訪ねる。
「えっとね。あいちゃん。あの、話したいことがある。」
「そんなに真剣な話なの?なに改まって。」
「今なら話せそうだなって思ったの。重大な話かは聞く人によるなぁ。」
「うん。いいよ。話して。」
するとゆずは私から目をそらして前を向いた。
「あのね...」
私は少し嫌は予感がした。
それはゆずの視線の先には優と優の友達が歩いていたから。
「あたし、えっと、誰にも言わないでよ?
あたし、飯島が好きなんだ。」
私は目の前が一瞬真っ暗になるような衝撃がはしった。
飯島って優のことだ。
その苗字の人は学年に一人しかいないからたぶん。きっと。
「だめ」という言葉を飲みこんで、ゆずに笑顔を向けた。
そして唐突に出た言葉は
「ゆずならいけるよ。頑張って!応援してる。」
という気持ちとは真反対の言葉だった。
「ありがと。あいちゃんならそう言ってくれると思ってた。飯島って彼女いるって聞いたことないし、去年クラス同じだったし、あたし、いけるかな?」
「うん。いけるよ。ゆず天然でかわいいもん。」
「ありがと。」
「頑張ってね。」
私はそう言うのがやっとだった。