【短編】私、彼女失格です!?
次の日。
いつもは満点の小テストもケアレスミスで満点じゃなかった。
帰りも優がいる公園に行ったけど、誰もいなかった。
二日後、私は熱を出して、学校を休んだ。
たいぶよくなったので、気分転換のために住宅街を歩いていた。
いつまでもこのままじゃダメだ。
切り替えないと。
でもできない。
優、ゆず。
私は二人を裏切ってた。
なんとなく、優との公園に行く。
そしてベンチに座っていると、後ろから声がした。
「藍華?」
「ゆ、優?」
振り返ると優が立っていた。
部活ジャージ姿で帰りだということがわかる。
私は思わず優に抱きついた。
自分の行動にびっくりする。
もう怖くなかった。
「ちょ、藍華?どうしたの?」
「ゆ、優。あの、あのね、話、が、ある。」
私は優に全部全部話した。
一瞬、ゆずの気持ちを伝えていいのかと迷いはあったけど、私は話すことにした。
優はずっと聞いててくれた。
涙がいつの間にか溢れてくる。
「ーだから、だからね。私、優が好き。だから別れたくない。」
全部言えた。
私は解放感に満ちていた。
「藍華、俺も言いすぎた。藍華のことだからなんかあったってわかってたのに。」
「う、うんー。」
「だからまた俺の彼女になってくれますか?」
「はい。よろしくお願いします。」
私の心は数ヶ月ぶりに復元した。
世界がまた色付いて見えた。
「じゃあ藍華、柚乃ちゃんに話そう。全部。」
私は優に言われたなくても話すって決めていた。
やっぱり親友にウソをつき続けるのは苦しい。
「うん。もちろん。」
「俺も一緒に行こうか?」
優しい目で私の目を見ながらそう言った。
「ありがと。でも大丈夫。私の問題だもん。私がずっと黙ってたからこんなことになっちゃっただけだから。私が最後まで解決する。だから待ってて。」
「わかった。気をつけて。」
私は優の腕の中から離れ、ゆずの家めがけて走った。
インターフォンを押すとすぐにゆずが出てくれた。
私は今日学校を休んでいたから
「逆お見舞い?」とか言われたけど、私は笑えなかった。
ゆずの部屋にあがらせてもらって、クッションに座った。
窓から夕陽がきらきらとさしている。
「あいちゃんが話とか珍しいじゃん。スマホとか明日でよかったのに。」
そうお茶を飲みながら普通に言うゆず。
でもスマホだとどうしても誤魔化してしまいそうだし、明日はもう勇気がないかもしれない。
「えっとね、ゆず。私ずっとゆずに黙ってたことがある。」
私の緊張を感じとったのか、ゆずはお茶を置き、私を見た。
「ずっと黙ってたって...なに?」
「あのね。優のことなの。」
「えっ。飯島のこと?もしかしてあいちゃんも好きだったの?」
「えっとね、優と私、ずっと前から付き合ってたんだ。優の彼女は私なの。」
そこから私は全部話した。
優に一回話していたからか、そこまで息詰まることもなかった。
ゆずはたまにショックな表情を見せながらも口出しせずに相槌だけうってくれていた。
話し終わったころには外は少し暗くなっていた。
ゆずのコップのお茶はなくなっていた。
「そっか...。」
「ごめん。ゆず。」
「いいよ。あいちゃん優しいから、あたしにずっと付き合ってくれてたんだね。」
本当は悲しいはずなのに、私を責める気持ちでいっぱいなはずなのに、ゆずはいつもの柔らかい笑顔で私を見ていた。
でもゆずは、少し泣きそうになっていた。
ゆずは私にもういいよと言うように、私のコップをさげた。
「今日はありがとう。また明日ね。」
私はそう言ってゆずの部屋を出た。