狼上司と秘密の関係
明日は休みだし、てっきりデートの誘いだと思っていたのに、なんだろうこの重たい雰囲気は。
なんだか嫌な気持ちが湧き上がってきて千明は唾を飲み込んだ。
その唾と一緒にこの場の雰囲気も飲み込めてしまえばいいのに。

「俺は狼の血を引いてる。もしも子供を望めば、その子にも影響は出ると思う」
そう言われて心臓がドクンッと跳ねた。
そこまでのことはさすがに考えていなかった。

将来的に結婚して子供を授かるかどうかはまだわからないとしても、もしそうなれば狼の血が流れる子供を生むということなんだ。
「そ……そんな未来のこと、まだわからないし」

ドキドキしていることを悟られないようにできるだけ静かに会話を続ける。
だけどさっきから胸が痛くて仕方ない。

まるで自分では大和の花嫁として相応しくないと言われた気分だった。
「そうだな。まだわからない」
大和はそう言って頭をかいた。

「だけどきっと、俺の母親もそう思って父親の子供を生んだんだ。そしたら、俺みたいのが生まれた」
「そんな言い方やめて!」
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