狼上司と秘密の関係
ただの炭酸飲料だけれど、1日の疲れが一気に吹き飛んでいくようだった。
しゅわしゅわとした炭酸ののどごしがたまらない。
「こんなところ大和さんには見せられない」

おつまみのするめを噛みながら苦笑いする。
テレビ画面ではさっそくホラー映画が流れ出していた。
「菊池さんは泊まりにこないの?」

部屋の中を見回して梨江が聞く。
この部屋に大和の痕跡はひとつもない。
「うん。来たことないかな」

「そっか。あ、これは?」
梨江が狼図鑑に目を付けて手元に手繰り寄せる。
「それは狼図鑑」

「見ればわかるよ。なんで狼?」
「ちょっと、興味があって」
分厚い表紙をパラパラとめくって「ふぅん」と興味なさそうに呟く。
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