狼上司と秘密の関係
☆☆☆

「ギャアア!」
子供の鳴き声が炸裂して、洗い物をしていた千明は手を止めて振り向いた。
体験教室ではアイスクリームが完成して、子どもたちが食べ始めたところだった。

今日の子供達はとてもやんちゃで、芝生に出たころからずっと喧嘩をしているグループもいたから、また喧嘩でも始まったんだろうと思っていた。
だけど様子がおかしい。

アイスを片手に持った男の子が舌を出して顔をしかめている。
「ちょっと、これお塩が入ってるじゃない!」

すぐに異変に気がついて男の子に駆け寄ったお母さんがかな切り声を上げた。
お塩!?

千明と梨江と晋也の3人が慌てて駆け寄る。
すでに出来上がったアイスクリームを少量スプーンに乗せて味見をしてみると、確かに辛味が口の中に広がった。

「す、すみません! 材料を間違えたみたいです!」
すぐに晋也が頭を下げて、ふたりも続けて謝罪した。

「アイスはすぐに作り直します」
梨江がそう言って、準備室へ飛び込んでいく。
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