狼上司と秘密の関係
☆☆☆

白濁した湯船に入ってしまえばもうほとんど羞恥は消えていた。
心地よいお湯に体を包み込まれて1日の疲労が溶けて消えていく。
それにしても、大の大人ふたりが入っても余裕で足が伸ばせる湯船の広さには、また驚かされた。

「こんないいマンションに一人暮らしって、もったいなくない?」
「それって、俺と一緒に暮らしたいって言ってる?」
ニヤリとして質問返しされたので、顔にお湯をかけてやった。

「でもまぁ、ゆくゆくは誰かと一緒に、とは思ってるよ」
大和の言葉に千明は自分で質問したものの恥ずかしくなって曖昧な返事しかできなかった。

ゆくゆくは誰かと。
その誰かとは、今の所自分でいいのかな?
なんて考えたりする。

そうしているうちにすっかり体は温まって少しのぼせてきてしまった。
「先に出るから、見ないでね」

「どうして」
大和がニヤついた笑みを浮かべている。

「どうしても!」
千明はまた大和の顔にお湯をかけたのだった。
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