狼上司と秘密の関係
自分は事務所で食べるしかなさそうだと思った時、大和が声をかけてきた。
その手には千明が作ったお弁当箱が持たれている。

「一緒に食べるか？」
「うん！」
ふたりで事務所へ入ると大きなテレビがニュース番組を移していた。

内容は天気予報だ。
屋外観光地で働いている大和はこうして毎日天候のチェックをしているんだろう。
千明が自分の席に座ろうとしたとき、大和が「ここに来れば？」と、隣の席を差した。

そこは晋也のデスクだったけれど、戻ってくる気配はないからまぁいいだろう。
千明は言われるがまま、隣に座った。

思えば仕事中にこうして一緒に食事をした経験はあまりないかもしれない。
なんとなく外で食べたり、梨江や晋也たちと一緒に食べることが多かったからだ。

幹部クラスである大和は休憩もそこそこに仕事をしなきゃいけないから、遠慮していたところもある。
「今日は暇そうだな」

天気予報では今日１日大雨になりそうだと告げている。
そのとき電話が鳴り始めてすぐに大和が受話器を取った。
「はい、こちら体験教室です」
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