狼上司と秘密の関係
ここの電話は施設同士しか通じていないから、公園名を告げる必要はない。
「そうですか、わかりました」

大和の上司からの電話だったのだろう、電話を切った後大和は軽く首を振った。
「どうしたの?」
「午後からの予約が全部キャンセルになった」

「えぇ!?」
予約まで入れるお客さんたちは体験教室を楽しみにしてくれている。
公園でのメインイベントとして捉えていることも多い。

だからキャンセルされるのは珍しいことだった。
「この雨じゃなぁ……」
「全部キャンセルってことは、午後からどうするんですか?」

「施設内の清掃と、材料の調達かな」
それくらいしかできそうにない。
今日の午後からは小学校低学年の子たちが来る予定だったから、ガッカリしてしまう。

「あ、そうだ。明日もお弁当を準備してきていい?」
「え? でもそれは悪いだろ」
お弁当に箸を伸ばしかけていた大和が顔を向ける。
< 175 / 209 >

この作品をシェア

pagetop